カメラの大きさ

本ページは「ENGによるロケ・撮影」が主題ですが、一応商品ラインナップとして「デジロケ」もあります。なので、その方面のお話もしたいと思います。今回はデジの「本体サイズ」について。カメラは小さければ小さいほど便利になるのか、そうではないのか。この点について考えてみたいと思います。

キヤノンXA30

いうわけで、今回モチーフとなるのはキヤノンのXA30。発売からしばらく経っているので、中古市場にもいろいろ出物があります。が、なぜか値段はなかなか落ちない。今でも、そうですねぇ…13万円くらいなんじゃないでしょうか。

「値段が落ちない」ということは人気があるということだと思います。そしてスペック的にもそれなりの理由があります。というのもこのカメラ。ハンドルが着脱式のためハンディカムサイズになるメリットがありながら「光学20倍レンズ」なのです。

光学倍率がやたら高い民生用カメラは、他にもイロイロあります。ですがマニュアル操作ができて光学20倍となると、このモデルくらい。そういった部分が評価されて人気があるんでしょうね。

で、問題はそのマニュアル操作。今回原稿の主テーマともいえます。いくらマニュアル操作できても「操作のしやすさ」は別問題ですよね。そのあたり、このXA30はどうなのか?

超やりづらい・事実上無理

結論から言いますが、このXA30をマニュアル操作で撮りこなすのは事実上無理です。少なくとも大人の男性の手だと無理ですね。理由は、本体サイズが小さすぎるから。

とにかくあらゆるボタンが小さい上、レンズリングの挙動がまったくダメ。一応、ズーム・フォーカス・アイリスと任意のものをアサインできるんですが、無理無理(笑)。検知スピードをハイにしても、全く使い物にならない。少なくともズームリングとしては100%ダメです。

この辺は旧上位機種のXF100とえらい違いです。XF100は完全に使えるズームリングなんですけどね。もしかしたら上位機種(205)を買わせるためにわざとこんなしつらいにしているのかもしれません。

例の「くりくりダイヤル」も、全くダメ…これなら、民生用のハンディカム・CX630Vの方がよっぽど現実的な挙動。なんでこんなに思い通りに動かない設計にしちゃったんでしょう。

さらに致命的なのがバッテリーが持たないこと。大容量バッテリーで90分程度。これでは記録用途では使えませんよ。

工夫・応用すれば何かに使える

以上のような特徴があるため、せっかく本体が小さいのに用途がかなり限定されてしまいます。まぁうちはその限定された用途の中で、いろいろと工夫することで便利に使っていますけどね。

なのでロケカメラとしては、本当にディレクターのおさえ用デジにしかならない。NX5Jのようにいざとなればメインカメラ、みたいな使い方はまったくできないです。

と、ここまでよくない部分ばかり書いてしまいましたが、どんな道具も使い分け。何とかとはさみは使いようとはよく言ったものです。なのでそれを理解していれば、いろいろと活用はできるものです。

事実、うちではある種の業務では欠かせない特殊な定番カメラとして大活躍してもらっています。もちろん、素のままではなくカスタムというか、さまざまな補機を組み合わせた上で、ですけどね。

このような側面もあるため、結局カメラというのは小さければいいというものでもないんですよね。それゆえ、ある種のユニバーサルデザインといえるENGにはちゃんとした存在価値がある。当方はそんな風に思います。