DV-StormとHD-Spark

今回は編集のお話です。当方は完全にノンリニアの世代ですので、リニア編集はやったことがありません。ノンリニアから現場に入った世代です。なので、ノンリニアに関しては、まぁ人並みにあれこれ知見があります。そこで今回のお題は「DV-Storm」と「HD-Spark」。今はなきカノープスの製品ですね。これについて考えてみたいと思います。

DV時代はまさに「切り札」

ノンリニアの歴史は、パソコンの歴史そのものともいえます。なので、編集ソフトの話をしないわけにはいきません。まずはここからいきましょう。

2000年代に入ってから、ノンリニアは現場ツールとして現実的な存在になりました。
当時はマックのファイナルカットが圧倒的存在。一方、資金潤沢な放送局では、Avidやオートデスクなどがけっこう幅を利かせていました。

当方含め小規模なプロダクションでは、そんな高額なシステムを導入できるわけもなく。当然、Premiereかファイナルカット、とこうした流れになるわけです。今も当時もウインドウズがメジャーですから、ウインドウズでも動くPremiereに流れるのは自然な動きでした。

昔のPremiereは「話にならない」レベルだった

しか~し! 昔のPremiereは、まったくお話にもならないひどいレベルでした(今は驚くほど進化したという話なので、それはそれで今驚いている)。何がというと、リアルタイム性能。カラーマット敷いただけでレンダリング、テロップは一切リアルタイム再生不可、最適化という名の意味不明な待ち時間…「仕事の道具」としてマトモに使えるような代物ではありませんでした。ここで、表題の「DV-Storm」が出てくるわけですね。

文字通りサクサク動いたカノープス

DV-Stormは、当時カノープス・現グラスバレー日本法人が開発・販売していたノンリニアソフト&ハードウェアボード。DV入出力が付いており、これをパソコンに装着することでノンリニア編集を可能にする商品でした。
お値段は、確か…7万くらいだったような気がします。その辺はうろ覚えです。

このDV-Stormが、先のPremiereとは比べものにならないくらいサクサク動いたわけです。テロップも2~3ラインならリアルタイム再生だし、最適化の待ち時間はないし。DV-Stormのおかげで、やっとノンリニアが業務として成立したという印象はとても強いですね。当時は欠かせない商品でした。
しかもソフトも、一見シンプルでお気楽に使えそうな雰囲気ながら、工夫と創意でさまざまなことができる仕組みになっていた。これも特筆点です。

結局ここから、現在のEDIUSへと発展を遂げていくことになります。

現在はなぜか生産中止

このDV-Stormは、HD時代には「HD-Storm」として再登場。我々を力強くバックアップしてくれていました。当方スタジオのワークステーションには、もちろん全台コレが入っています。

ただ、ブラックマジックの製品が出てきたことが関係しているんでしょうか、今はなぜか「HD-Storm」および「HD-Spark」は生産中止となっています。
とはいえ、極めて低価格でHDノンリニアを可能にしてくれた「DV-Storm」および「HD-Storm」「HD-Spark」は、当方にとっても偉大な存在だったといえます。

余談ですが、これはここだけの話。昔、東京の某独立U局で編集していた際、なんと編集をこの「DV-Storm」で行っていました。それはまぁいいんですが、時代が時代だけに、元素材はアナログベーカム。つまり、ベーカムとストームだと端子が合わない…さぁどうするか。なんと驚くべきことに「コンポジット接続」でデジタイズしていたのです!今考えてもなんと大胆なことかと思います。これでオンエアの完パケ作っていいのか? と当時はいつも驚いていました(笑)。