HDW-750

HDW-750(写真は790かもしれません、スミマセン)。地上波がハイビジョン化されしばらくの、事実上のデファクトスタンダードカメラでした。登場は意外と古く、2002年(多分、です。当時のSony業務用機器カタログには既に掲載されていた記憶があるので…)。あれからはや15年以上たってしまったんですね。時が流れるのは早いものです。今回はこのカメラについていろいろと考えてみたいと思います。

400Aの事実上の後継機

放送業界に限らず、優れた製品はいわゆる「スタンダード」となっていきますよね。放送業界でも同じようなことがありました。技術、分けても撮影の分野においても同様。かつては長らく「BVW-400A」が、そうした存在でした。

時は流れて2000年中盤。地デジが始まる頃になると、ようやく業界もHD化の動きが加速し始めます。

ここで余談なのですが、業界のデジタルHD対応はかなり遅かったです。というのも、2004年段階で当方某放送局で編集業務を行っていたのですが、当時まったくそうした動きがなかったからです。
動きがあるどころか「HDCAMのカメラ買ったけど、HDの仕事がない」という話をあちこちで耳にしました。そのくらい、移行のスピードは鈍かったです。

今度も天下を取ったSony

閑話休題。HDのカメラですが、やはりベーカムの流れを汲むHDCAMが覇権を手にしてしまいました(笑)。
なので、現場でのオペレーションもさほど変わりませんでした。カセットサイズも同じ、収録時間もまぁほぼ同じイメージ、編集もリニアのまま。ついでに言えば高額な機器メンテナンス体制までそのまま…。

といった状況で、2010年代以降まで続いてきました。

個人的には、正直DVC-PRO HDのMカセットに大きな魅力を感じていましたけどね。分かりやすく言えばハイエイトサイズ。このサイズに放送用素材を収録できるのはモノ的にも面白いと思ったものです。

しかしいかんせん、スペックはある程度重視されるらしく…DVCPRO-HDはピクセル数がHDVよりも少なかったですからね、それがネックになったのかなぁという気はします。実際の素材は解像感含め、全く問題ないんですけど…。

割とどうでもいい、個人的な印象と感想(笑)

ところでHDW-750ですが、当方が書き留めておきたいのは3点です。

まず、「意外と本体サイズが小さい」こと。HDCAMカセット(=ベータカセット)のメカデッキが収まって、あのサイズです。これは結構画期的なことじゃないかなと思います。だって、DVCAMのDSR-450と並べてもほぼ同じ大きさなわけですから。すごいといえばすごいです。

 

次に「デッキレスポンスが早い」こと。DSRが頭にくるほど反応が遅いのに対し、HDWはほぼ押した瞬間にレックスタート。これは使っていて小気味いいですよね。愛用したくなる気持ちも分かろうというものです。

最後は…またまたファインダーの話(写真ではよく見えなくてスミマセン)。例の金具(笑)。BVWの時代は前に突き出していて、これが結構カッコよかったんですが、HDWはなぜか「後ろに向けてめくれ上がっている」。この形は、いったい何を意味しているのでしょう?? BVWのステー以上に役割が分からない(笑)。まして見た印象が「めくれ上がっている」わけですから、特にカッコいいワケでもない。一度設計された方に意図を質問してみたいですね(笑)。

あとカンケーないんですが、HDWのリリース写真から、ガンマイクの風防が寸胴なカジュアルチックなものになっています。なんででしょう?? 精悍さを狙うなら、スッとした適度な長さで適度にテーパードしたものの方がいいと思うのですが…って、そんなこと気にするような人は当方以外にはいないか(笑)。

 

余談ですが、Sonyのカメラは「業務系」「放送系」で、それぞれスイッチの質感が全然違います。放送系はものすごくしっかりしたつまみ・ボリュウムノブですが、業務系はヘナヘナのプラッチック製。さらに、本体印字が放送系は刻印なのに対し、業務系はスレれば次第に消えていくシール印刷です。

この辺も値段の差なのかなぁと思う一方、それしたからってそんなにカネかかるわけでもないだろ! とツッコミたくなる部分でもあります(笑)。