ビデオの世界も、あっという間にファイルベースに移行してしまいました。こうなると気になるのが、過去のカメラ・そして中古カメラがどうなるのか。カメラとしての素性はいいのに「メディアがテープ」というだけで選択対象外になってしまう…これはなんとももったいない気がします。テープカメラは、今後現場で使うことは未来永劫ないのでしょうか。
「記録用途」としてはないかも…
結論から言えば、「記録用途」としてはもうないでしょうね。なぜならテープ自体が生産中止だから。もしくは需要の激減によって高値になっているから。特にDVCPROおよびDVCPRO-HDは、カセット自体が完全に生産終了。もはや現役続行は無理、というのが現状です。
しかし一方で今も中古市場にはさまざまなテープカメラが流通しており、中には状態のいいものもある。なんとももったいない限り。これらのカメラが何とか活躍できるような現場は、どこかにないのでしょうか。
実は、あるんです。需要と使い方次第で、使い道はまだまだあります。
館内生中継カメラとして活用する
例えば当方ではCANONのXH-A1sやG1が、館内生中継のライブカメラとしてまだまだ現役です。さすがにデッキ部を使うことはもうないんですが、デジの小さな筐体に20倍レンズという素性を活かし、便利に活用しています。
さらにこのA1s、そしてG1が見逃せないのが、フォーカスアシストのためのマグニフィ機能。文字通りフォーカス合わせ補助のための「拡大機能」なんですが、このカメラではスルー映像も拡大されて出力される。しかもなぜか、解像度的にまったく問題ない…つまり、ENGのエクステンダーと同じように使えるのです。言い換えれば、事実上のズーム40倍以上カメラ(笑)。これは便利です。舞台上の超クローズアップも、こんなカメラながら楽々狙えてしまうのです。
この機能はデッキで録画中は使えないため、まさに中継カメラ用途ならでは。それゆえ、便利に活用しています。
と、以上はほんの一例。記録以外の用途であれば、テープカメラもアイデア次第でいろいろと活用することができます。
雨天 & 海ロケ・突撃用途
例えばENGでも、HD-SDIさえあれば外部にHMRを接続することでタリー連動・一応現役カメラとして使えます。なので、画素抜けのないHDCAMとかDVCPRO-HDなど・素性のいいテープカメラを格安で入手し「雨の日or海ロケ専用カメラ」にするなど。「何かあっても『あ~あ』で終わらせられる」予備カメラにする、というのも一案です。
このように、テープカメラもアイデア次第でまだまだ活躍の場があるはず。こうした、いい意味での「セコイ(笑)」アイデア出しをするのが当方の趣味(笑)。でもすごく楽しいです。皆さんもぜひいろいろと楽しんでみてください。