ピンマイクのお話です。以前このコーナーでは、UHFによるピンマイク収録・混信の件や、ブルートゥースによる代替機材の話題をお送りしました。今回は「ICレコーダー」がテーマ。機材が多様化する中。ICレコーダーの上手な使い方は、どんなものなのでしょうか。
記録収録では意外と有用
前回の記事にもあるとおり、実は電波が使えない現場がまれにあります。そんなとき、従来であれば「有線ピンマイク」を活用しその場をしのいだものです。いわゆる「非常用の予備機材」。
ただいくら小型軽量でも、予備機材ばかりそんなに用意できないのも事実。するにしてもできるだけかさばらない形が理想です。
そこで当方で活用しているのが、ICレコーダー。愛用されている方も多いかもしれません。
とはいうものの。昨今の一眼DSLE流行りの中。ちょっとICレコーダーが万能視されているきらいがなきにしもあらずな気がします。そのあたりは実際、どうなのでしょう…
使いこなしが要
まず忘れてはいけないのが、ICレコーダーは「タリー連動しない」点。レックトリガーに連動しないため、普通のロケでは普通に使うことはできません。丸回しの記録案件でしか使えないのが実情です。ここだけ理解しておけば、有用な機材としてラインナップすることができます。
モノによっては「スレートトーン」機能が内蔵されている場合があります。これはカメラとICレコーダー両方に、同期取りのためのトーン信号を録音してくれるもの。当方は活用したことありませんが、もし使えたら便利でしょうね。
応用方法はいろいろ
一方、当方がICレコーダーについて重視している点はもう一つあります。それは「できる限り小型である」こと。さらに「リニアPCM収録」できて「プラグインパワーのマイク端子があること」。
要は、ポケットに入る大きさで、しかも多くの台数を使いたい、ということ。これこそ、実はICレコーダー活用の上での最大のメリット。UHFだと大事になってしまいますからね。
さらにおススメなのが、ソニーから発売されているICR-2000。コレは、レコーダーの管理画面をスマホに無線伝送してくれる機能を内蔵しています。つまり、録音レベル調整をスマホで随時遠隔操作できるのです。
ただし音声は伝送してくれません。この点がかなり残念なのですが、そこは周辺補機の活用で解決する部分といえます。
もうひとつの注意点
以上のように、ICレコーダーは限定事項さえ理解・克服すれば大変便利なグッズですが、もうひとつ注意点があります。それは、ノンリニア上で同期を合わせても、素材が長時間の場合・じりじり同期がずれていく、という点。これは事前に把握というか、覚悟しておく必要があると思います。
ただ救いなのは、ずれるのは「後ろ方向」、という点。つまり、手作業で一定スパンごとにタイムラインで微調整すればいい。スタートの頭さえあわせられれば、そして作業に慣れさえすれば何とか克服できるウィークポイントといえます。
本体の衝撃にも要注意
あと、ICレコーダーは意外と衝撃に弱い点も留意点です。緩衝材は必ず装着しておいた方が安全です。そんなに高い場所からでなくとも、リジッドに衝撃が加わると、データが消滅することがあります(当方、実際に一度体験しています)。なので、このあたりは気をつけられるといいと思います。