ENGである理由

本ホームページでは「ENGによる報道ロケ」をご提案していますが、ではなぜ「ENG」なのでしょうか。そもそも前提としてENGとは【交換式マニュアルレンズを搭載する、ショルダータイプの業務放送用カメラレコーダー】を指します。これは放送業界のいわゆる「俗語」。なぜならENGを言葉通りに受け取るなら、いわゆるデジ(ハンドヘルドカメラレコーダー)も、ハンディカムも「ENG」になるからです。そうではなく、分かりやすい分別の俗語として「ENG」と呼称、それがENGの意味。そのENGにこだわる、業界そして当社のスタンスとは…。

【ENGは圧倒的高画質?】

上記リード前提のもと、詳細を考察しましょう。そもそもENGとデジ、画質にどのくらいの違いがあるのでしょうか? …これは「思っている以上にある」という結論になります。ただこれはカメラの潜在能力差ではなく「使う人の技量」「セッティングの追い込み」「システムの総合力」の3点がもたらす結果と思われます。つまりデジであっても、熟練のVEがサービスマンモードまで入って調整し、百戦錬磨のENGカメラマンが撮影すれば、ENGに肉薄する絵が出る「こともある」。ただ仮にそうであっても、よく調整されたENGの出す絵は時にはっとさせられるほどの威力がある…現場を知る人間は、そう感じることが多いようです。

【撮像板について】

ここ数年のデジタルデバイスの進化には、目を見張らせられます。カメラ分野もご多分に漏れず。「高性能」を盾に押し出していたENGも、諸元上は微妙な立ち位置になりつつあります。その象徴が「撮像板サイズ」。かつては2/3が最大とされていましたが、今やデジのサイズでフルサイズは当たり前。スペック上は民生用機の方が上であることも、珍しくなくなっている。ただ、性能はスペックのみで語れないもの。ENGの高画質特性は、システムで組んだ際「総合力として」発揮されるものなのかもしれません。

【ではなぜENG?】

スペック上は必ずしも「最上位」でないENG。しかもデジが十分に高画質化した現在。なぜ報道スタッフは、大きく、重く、消費電力も多く、運用も大変なENGを、わざわざ使っているのでしょうか。それはいわずもがな。「見た目」に意味があるからです。…と、説明してしまうと。一般の方からは「なんてつまらない(実質的ではない)理由…」と言われてしまいそう。であれば、わかりやすく説明しなおしましょう。取材現場でENGを用いるのは、いわば「お作法」。たとえば。どんなに名医でも「手術室に寝巻きで登場されたら」、あなたはその名医を信用できますか? 同じくどんなに名シェフでも、キッチンの現場で「腹巻姿」で仕事していたら。あなたはそのレストランを信用できますか? それと同じこと。報道でENGを用いるのは、そう、一種の「お作法」。見た目のそれらしさも含めての報道スタッフ。そういうことなのです。

【ENGならではの機能】

一方、ENGだけが可能な唯一の機能があります。それは「エクステンダーレンズ」が使える点。これは普通のズームレンズの焦点距離を、単純に2倍にする機構。エクステンダーのおかげで、ポータブルレンズでありながら30倍を超えるロングを狙えます。これは発表会取材では欠かせないもの。エクステンダーが使えないカメラは、ほぼ取材ができないとすらいえます(報道発表では、テレビカメラは会場の最後部に位置させられるため)。報道発表会の取材にはエクステンダーレンズ装着可能なENGが絶対必要、と言えそうです。