当社黎明期 ・ 初導入したENGは…

その昔。もう10年以上前のことです。当社がまだ黎明期だった頃。初めて導入した「現場運用できる」ENGカメラの写真が出てきたので、ご紹介します。

当時も今も、あくまで小規模運営を旨としている当社。それゆえ、いくら業務で携わっているとはいえ、ENGカメラを大量導入するのはやはり至難の業。そんな中、当時の判断でコスト・運用そして見た目(笑)もOKとされたのは…

手頃さが魅力だったDV500P

そのモデルとは、JVCのGY-DV500P。ミニDVカセット専用のモデルでした。ご覧の通り、ガワのデザインも意外に悪くない(笑)。民生用のように丸っこくないし(とはいえ若干、その雰囲気はありますが)。

でもまぁ、なかなかハンサム。あと、面構えの割に非常に小型で、しかも軽量にまとめてあったのもポイントになりました。ワンマンクルーが基本の当社には、まさにうってつけの設計。

さらに、当時のフラッグシップだった Sony DSR-130にはIEEE 1394(要はi.LINK端子)が装備されていなかったのに対し、こちらはアリ。

「まずはこのあたりから…どうだろう」ということで、導入決定しました。

気軽に活用できる便利さ

実際に使ってみて、なかなか便利なカメラでした。CCD感度も公称F11ありましたし、メディアもミニDVなのでリーズナブル。気軽に現場に持ち出せる、まさに「相棒」という感じ。

しかも一応ENGなので、フツーの人の目には「テレビカメラ」に十分見える(笑)。なので、けっこう気に入って愛用していました。

次第に課題も明確に

ただ、使い込むうちにいろんな課題も明確になってきました。

 

まず、そもそもミニDVカセットしか使えないため、記録ロケには向かないという事実。ご承知のとおり、DVカセットは最長尺で80分。それ以上は記録できない。

確かにカタログで謳われているように、DVミニカセットはコンビニでも入手できる汎用性の高さが魅力ではありますが、収録中にカセットの入れ替えというのは、制作や番組ロケならともかく記録ものでは致命傷になりかねない。

さらに(これはネットでも話題になっていましたが)デッキメカが恐ろしく脆弱(笑)。カセットは、ビデオデッキのようなローディング式なのですが、何回かに一回は、メカと同期が取れずに吐き出されてしまう。

これは通常時でもいらつくコトですが(笑)ましてロケ中など緊急時だとそれこそ叩き壊してやりたくなるほどハラが立つ!!(失礼)。

 

しかも、RETボタンでレックエンドを確認しようとするとローディングミスとなり、カセットが吐き出されてしまう!!知らずに押すと大変なことになってしまいます。

さらに、パッケージではフジノンレンズが付属しているんですが、このレンズがもう、素人でも分かるほどの絶望的な画質であり…はっきり言って、当時のVX2000の方がよっぽどマシというありさま。

 

ただ、これはDV500Pの名誉のために書かせていただくと、その後同じフジノンのS20を取り付けると、見違えるほど画質は向上しました。これでUBCの鵜沼さんチューンをもし入れていれば、まぁそこそこ使える絵にはなったのかな、という印象です。

 

カメラは所有してこそ

そんなわけで、いい印象も逆の印象もあった500Pですが、現在は当社の機材室にて、オブジェとしての余生を静かに送っております。

当社は機材に対し、とても愛情を持って接するため一度購入した機材は、原則として転売などすることはありません。とことん愛しぬくというポリシーです(笑)。

どんな機材もそうですが、やはり制作会社は機材を所有してこそ、という感が500Pを通して実感したという一面もあります。やはりレンタルだといろんな意味で機転が利かなくなりますし、なによりロケしていても、どこかつまらないものなので…。

 

そんな教訓も含め、ともに過ごして気が付くとはや16年のDV500P。当社が初めて所有したENGカメラ、それがこのDV500Pだったのでした。