デジの鏡頭リング

デジのレンズリングについて。主要な撮影機能を司っているカメラのレンズ部分・鏡頭リング。実はデジの場合、これがモデルごとに機能も配置も異なっています。使いやすさや機能性など。そこに優劣はあるのでしょうか。

各モデルで異なる配置とデザイン

デジはサイズがサイズだけに、ボタンやリングの配置に多大な制約があります。このため、各社はそれぞれにいろんな工夫を凝らし、できるだけ扱いやすいようレイアウトしています。

とはいえ、理想型はENGレンズに準ずる鏡頭3リング式。これなら、ENGと同じく極めて直感的な操作が可能です。さらに理想を言えば。無限に回ってしまう「電子式」ではなく、きちんと回し止めのある「カムタイプ」が最良…。

ただ「回し止め」については、必ずしもカムタイプがいいとも限りません。優秀な電子リング(例えば、CANON G1sや205など)であれば、電子制御リングでも十分カム式と同じように使いこなせます。いや、場合によってはその方がいいケースすらあります。

ミニデジの「クリクリダイヤル」

ところで。一般的なデジといえば今はNX5Rとかになると思いますが、これよりもさらに小型のデジがあります。前述の205などはまさにそれ。他にもA1Jや、パナHMC45、CANON 105などがそれに該当します。こうしたデジは、サイズの制約上から3リングを搭載することができません。このため苦肉の策として「クリクリダイヤル」を装備することで対応するケースが多い。

ただ、このクリクリダイヤルが実に微妙なブツで…使いやすいものもあればそうでないものもある。概して使いにくい傾向ですね。というのも、ミョーな回転検知が入っている場合が多く、どうにも直感的な操作がやりづらい。これだったら同じクリクリダイヤルでも、民生用のハンディカムの方が圧倒的に使いやすく実用的です。

3リング=無条件OK、ではない

一方。では3リングなら絶対的に理想かといえば、そうでもない。カメラとしての基本レイアウトが優れていなければ、いくら3リングでも思うようなオペレーションがしにくくなるのです。

カメラとしての基本性能。これは、デジでいえば「右グリップと左グリップの位置関係」、これに他成りません。右手と左手のオフセットバランス。これが狂ったデザインだと、いくら3リングにしてもまったく使い物にならない、実にやりにくいカメラに仕上がってしまいます。HPX250、AC160Aなどは、残念ながらその典型です。

悔しいがソニーはさすがの完成度

そこいくと、悔しいですがソニーはさすがです。NXはもちろん、上のクラスのXDCAMを触ってみても、左右の手の位置・オフセットバランスが超絶妙。素晴らしいのひと言です。

ソニーの業務用カメラがなぜここまで市場を席巻し続け、ライバルの歯が立たないのか。その理由を身をもって実感することができます。やはり、一事が万事。優れたモノは、どんな部分をとってもやはり優れているんですね。